マウスピース型カスタムメイド矯正装置と抜歯治療について

マウスピース型カスタムメイド矯正装置と抜歯治療について

今月の話題はマウスピース型カスタムメイド矯正装置インビザラインによる抜歯治療です。

マウスピースの向き不向き

マウスピースによる治療は日本人には不向きであるという話が出ることがあります。

これは日本人の場合あごの未発育が多く、抜歯の治療を必要とすることが諸外国人よりも多いことが原因です。

マウスピースによる治療の場合、非抜歯による矯正治療は治療の進行において抜歯を併用する場合よりもスムースに進めることができますが
抜歯を併用する矯正治療の場合、歯と歯の間隙が広いためにマウスピースがたわみマウスピース自体の変形が起こりやすく、歯の倒れこみが発生することが多くあります。

それをマウスピースによって立て直すことはとても困難です。

特に大臼歯の近心移動(前方方向への移動)を行わなければならないときに、隙間を埋めるようマウスピースを取り換えると後方の歯は前方へ、前方の歯は後方へ、抜歯によりできた広い隙間に向かって押されるされるため歯はそのままお互に空隙に向かって倒れ込みます。

大きく倒れ込むとマウスピースによる起こし上げは不可能です。

抜歯による矯正治療方法

第1小臼歯の抜歯治療では、空隙を閉じる時の針金治療が2通りの方法あります。

①両側犬歯のみ第2小臼歯まで後方へ移動してから残りの4前歯を後方へ移動する。
②犬歯を含めた6前歯をいっぺんに後方へ移動する。

常に4前歯あるいは6前歯を一塊にして後方へ移動する方法が取られます。

マウスピースによる治療ではこのとき歯の上にはマウスピースがあるため下方へ押し込まれつつ側方へ圧力がかかり、歯は空隙へ向かって倒れ込みやすくなります。

これは噛む力が強い、あるいはかみしめていることの多い人の時にさらに多く見られる現象です。

マウスピースの交換を中止して、部分的あるいは全顎的な針金を使い、起こし上げることで予定した道に戻す必要があります。

この欠点に対して日本人矯正歯科医師の発案で、犬歯を少し移動したのち4前歯の後方移動を少し行い
その後更に犬歯を少し後方へ移動し、また4前歯を後方へ少し移動するという方法が開発されました。

こうすることにより広い空隙を作らないようにすることでマウスピースの変形を少なくすることができ、歯の倒れ込みを防ぐことができます。

瞬く間に世界中のマウスピース治療の方法にこの方法が取り入れられました。

その動き方からサイマルムーブメント(一括移動様式)に対してシークエンシャルムーブメント(順次的移動の移動様式)と呼ばれています。

いまではマウスピース型カスタムメイド矯正装置インビザライン抜歯治療の空隙閉鎖のスタンダードな方法になってます。マウスピース矯正治療はますます改良が加えられています。