顎口腔系発育補助装置「プレオルソ」について

顎口腔系発育補助装置「プレオルソ」について

今回の話題はプレオルソです。

プレオルソは本格矯正治療を始める前の第一段階の矯正装置です。
岡山県の大塚歯科医師が考案しました。上下一体型のマウスピース型矯正装置に分類されます。

小児期の矯正治療にはアメリカ式の固定式の装置を使う方法とヨーロッパ式の取り外し式の矯正装置で治療する方法があり、矯正歯科医が選択して使用しています。

矯正装置の種類について

固定式の矯正装置はブラケット装置に代表され、患者様自身は装置の着脱ができません。
固定式装置は歯ブラシが非常に面倒で困難です。幼若永久歯はう蝕になりやすく、
矯正装置を付けることで、ブラッシングが悪いと虫歯を発生させてしまう欠点があります。

固定式であるので、治療の効果は高く、確実に治療は進みます。
このことから固定式装置を好んで用いる矯正歯科医は比較的多くいます。

他方取り外し型の装置は結果が患者さんの装置の装着状況に大きく依存するため、
本人が装着を忘れてしまったり、はめないでいることがあると治療の進行が進まないばかりか、
それまで進めてきた結果が後戻りしてしまうこともあります。

効果が患者さんによっては期待できないこともあり、矯正歯科医は使用を避ける風潮があります。
外すと通常通りに歯ブラシはできるので、虫歯の発生は固定式に比べ少ないことが知られています。

小児矯正治療前の顎口腔系発育補助装置「プレオルソ」

プレオルソはこの外せる矯正装置の一種です。

ヨーロッパ式の取り外し式の矯正装置はほとんどがハリガネと硬いプラスチックでできており、頬にあたったり擦れて痛くなることもあります。

プレオルソは柔らかいポリウレタンでできているためこのような痛みはあまりありません。
プレオルソ装置自体はフレンケル装置を意識して作られており、頬の筋肉の圧力を排除することで、歯列に側方からの力がかかることを防ぎ、顎骨の自由な発育を促すことができます。

さらに舌を乗せるカップが組み込まれており、ここに舌を乗せることで、歯列の下に落ち込んでいる舌を上あごに付けておく正常な癖にすることが容易にできるような形をしています。
そのため舌の癖の是正にも有利です。

また現代の子供たちは口が開いていることが多く、この癖も不正咬合の発生を助長しています。
プレオルソで、口を閉じる癖を意識して付けることができます。

プレオルソは起きている1時間と寝ている時間の装着が推奨されています。
学校にはめていかなくてもよいことが紛失や破損の機会を減らすため、トラブルの発生が減ります。

歯列の是正にも効果はありますが、最も効果が高いのは過蓋咬合、開咬、下顎後退位の矯正、下顎前突など、咬合関係の治療と成長発育の促進です。上顎前突、叢生にも効果があります。

歯列をまっすぐに整えることなどは固定式装置にはかないません。適応不適応を検討して使用されます。