小児矯正の重要性について
小児矯正/予防矯正
不正咬合は放置するとどんどん悪くなります。最初に気がついたときはそれ程でもないものが、成長とともにどんどん進行して行きます。よくなることは全くないといってよいでしょう。不正咬合には原因がありますので、その原因が解消されない限りその原因が結果を生み出し続けますので、よくなることはないのです。
進行すればするほど治すには手間がかかります。本人の負担が大きくなります。抜歯をしないと治せなくなることもあります。ほんの少しの治療で治せるはずが無駄な負担を強いることになってしまいます。もちろん不正咬合は虫歯や、顎のずれを引き起こしますので、二次的に引き起こされた害も本当はないはずのものです。
現代は昔と違って、歯科医院は虫歯になってから行くところではなくなっています。虫歯は予防することができると証明されています。そしてそれは歯科医院で予防処置をしないとできないことも証明されています。虫歯になった歯は元には戻りません。現代の医学では人工物で置き換えるのみです。そして一度ウ蝕になって修理した歯は二次ウ蝕になりやすく、ハンディを背負って使っていくことになります。
歯を長持ちさせるには定期的に歯科医院に通うことが必要なのですが、ウ蝕や将来の歯槽膿漏などを起こさせないためにも、矯正治療は有効です。矯正治療については、従来考えられているより早い年齢のうちに手を加えることで、より自然な歯列の完成に導くことができます。抜歯する確率がはるかに低くなります。
小児矯正、予防矯正は基本的には針金によってつなげるブラケットを使った治療などは行なわず、普通に考えられる 矯正治療とは方法と目的が異なります。乳歯列期や、混合歯列期のうちに不正咬合の原因である顎の未発育や、アンバランスな発育を是正し、将来萌出する永久歯のためのスペースの問題や、噛み合わせの問題を治すことを目的とします。
ほとんどの場合は取り外しのできる器械を使います。指示通りに使用すると、ほとんど痛みはありません。調節時に外していると気持ち悪いというほど慣れてしまいます。外せるので汚れも取りやすく、清潔に使うことができます。
概ね最初の2年間ぐらいで、主な治療は終了します。発育させた歯列が元に戻らないようにしばらく支える装置をつけて骨を固めます。ただ、乳歯が抜けたりして、骨を固めている間も歯列は変化していきますので、その変化に合わせて装置に手を加える必要があります。
原因である顎の未発育や噛み合わせを発育期に治療するので、歯列の発育は通常の流れに戻り、よい形に自然に収まってきます。小児矯正は、顎のずれなどが早い年齢のうちに治せるので、全身にもよいことです。通常の矯正治療はすべての歯が永久歯になってからはじめる場合が 多いのですが、それではそのときまで顎は、ずれたままです。顎の大きさは一度大きくなってしまうと縮まりません。左右で大きさがずれてしまっても変える事ができません。左右の大きさが違ってしまうと歯列も左右の形が対称になりません。顔もゆがんでしまいます。顎がずれてしまうと身体は微妙にずれてしまい、健康に良くありません。
どこまで発育したか、変わってくれたかによって、結果はさまざまですが、それほど気にならない程度に落ち着けば、そこで終了でも良いでしょう。主観的な部分が多くありますので、そのときにご両親に判断していただきます。永久歯が萌出してきて、さらに治療を続ける希望が あれば、第2段階の治療(歯の矯正治療)に移行します。
上顎、下顎の未発育は早期の治療でのみ改善することができます。
従来の矯正の考え方は未発育は放置し、変化できなくなってから治療を始めるため根本にある骨の未発育はそのままで、未発育の骨と未発育の歯列を作り上げようとします。そのため抜歯をしないと並びきりません。
手の長さが5cm短いと大問題なのに歯列は平気なのでしょうか。
ヒトとしての正常な発育をまず目指すことが最も正当な考えと思っています。動物界には幼形成熟という現象があり、ヒトはその現象をいくつも持っています。そしてそれは、環境の変化に対応するための変化です。
親知らずはその意味でも使えないと考えた方がよいでしょう。しかし、それ以上の抜歯はあまりに元の形から遠ざかってしまい、現在の段階としては適切とは思えません。