中学生の矯正治療と抜歯について

中学生の矯正治療で抜歯が必要になる場合についてです。

中学生の矯正治療と抜歯について

今月の話題は中学生の矯正で抜歯が必要になる場合です。

抜歯が必要になる場合は4つの場合があります。

①歯と歯の重なりが大きい場合

②上下の奥歯の噛み合わせの位置がずれている場合
③上、下、または上下両方の前歯の角度がたくさん前方へ傾斜している場合
④歯並び全体が前方向に移動している場合 です。

中学生の場合は第2大臼歯がまだ萌出していないこともあり
実際の抜歯しての治療は第2大臼歯が萌出するまで待つこともあります。

歯と歯の重なりが大きい場合

歯の重なりが大きい場合は抜歯をして隙間を作り、隙間に向けて重なった歯を移動させでこぼこを解消します。抜歯する歯は多くの場合第1小臼歯です。平均的に7㎜の幅があります。

通常は左右の歯の数を合わせるために、右と左の2本の抜歯を行うので合計14㎜の隙間を確保することができます。

重なりを解いた後に抜歯した隙間がまだ残ります。

この残った隙間は前歯の角度を理想的な角度にするため、または前歯の位置を後方へ移動するために用います。

奥歯のかみ合わせを改善するために使うこともあります。

前歯の角度や位置を変える必要がない場合は奥歯を前方へ移動させ、隙間を閉じます。

上下の奥歯の噛み合わせの位置がずれている場合

奥歯のかみ合わせがずれている場合は抜歯した隙間に向けて奥歯を前に移動させて上の奥歯と下の奥歯のかみ合わせが山谷になるように調整します。

抜歯した隙間を利用することでかみ合わせも改善できます。

上、下、または上下両方の前歯の角度がたくさん前方へ傾斜している場合

前歯の角度が前方へ大きく傾斜している場合は、やはり抜いた隙間に向けて前歯を入れ込むように移動させます。

歯並び全体が前方向に移動している場合

上下とも前歯が口からあふれているときも抜いた隙間を使って前歯が口の中に入るように移動させます。

要件が複数ある場合

実際は①~④の要件が一人の方の中に複数あることが認められます。

どの程度の隙間がどこに必要かによって抜歯する歯の種類も変わってきます。

大臼歯の遠心移動により抜歯を避けることが可能なこともあります。

IPR(選択的削合)を行うことにより、必要な隙間の量を減らすことで抜歯が避けられることもあります。

大臼歯の遠心移動は4㎜程度が限度ですので、複数要件を持ち更にそれらが重度である場合は抜歯は避けられないでしょう。

要件が複数あり、その程度も大きい場合は、抜歯と遠心移動両方を行うこともあります。

中学生ともなるとアンカースクリューも選択肢の中に入ってきます。

求める側貌と現在の状況を加味して、さらに選択できる方法を考慮して抜歯、非抜歯は診断されます。