マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)装着時に気をつけること

マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)をはめているときには上下の歯は噛み合わせていてはいけません。

マウスピースをはめているときの癖

今月の話題はマウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)をはめているときの癖です。

基本としてマウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)をはめているときは上下の歯は噛んでいてはいけません。二つの大きな弊害があります。

上下の歯を噛むことによる弊害

1. 噛むことにより歯の脇の部分が浮き上がってアタッチメントから外れる

噛むことにより歯の脇の部分、アタッチメントを掴んでいる(グリップしている)部分が浮き上がってアタッチメントから外れます。これは上下の歯が噛むことでマウスピースの噛み合わせの部分が押しつぶされ、歯の脇でアタッチメントにはまっていた部分が歯から離れて浮き上がるためです。

構造的には特に大臼歯部分を掴んでいるアタッチメント用の陥凹が外側に浮き上がり、アタッチメントから外れます。歯冠部分の把持もなくなり、歯はノーコントロール状態になります。

マウスピースをはめると本能的に噛んでしまい、また、噛んでいたほうがマウスピースのはまりが良いように勘違いしてしまいますが、上下の臼歯同士が噛むことにより、かえって治療がうまくいかなくなってしまいます。

またアタッチメントとマウスピースのあたってはいけない部分が当たることで、予想しない方向への圧力が歯にかかり、予定していない動きが発現してしまうこともあります。歯を押し倒してしまうこともあります。

押し倒された歯を起こし上げるためにさらに多くの枚数のマウスピースを必要とします。場合によってはワイヤーによる立て直しが必要なことさえあります。

上下の歯を噛み合わせ続けていると終いにはマウスピースはおせんべいのように平らになってしまいます。マウスピースをはめてチューイでしっかり押し込んだら、もう噛まないことが正解です。

2. 大臼歯部分にのみ圧下する力がかかり、上下の大臼歯同士が噛まなくなる

マウスピースをはめて噛んでいると大臼歯部分にのみ圧下する力がかかり、大臼歯部分のみが沈み込み、上下の大臼歯同士が噛まなくなります。

マウスピースには0.75㎜の厚みがあり、2枚合わせると1.5㎜もの厚みになります。噛んだ時には実際にはそれ以上の間隙になります。

マウスピースをはめて噛むと最初に顎関節に近い大臼歯同士が当たります。大臼歯部分が当たっても、その段階ではまだ前歯部分は接触していないため大臼歯部分にのみ大きな圧下の力が働きます。

上下の大臼歯はそれぞれの歯根方向へめり込んでいきます。その結果マウスピースを外して噛むと、前歯同士が噛んでも大臼歯同士は噛みません。

マウスピースの形及び使い方を変えることで改善しますが、良いことではないので噛む癖をなくさないといけません。噛む癖がなければそうはならないので、噛まないよう注意が必要です。