大学生、専門学生の矯正治療について
大学生、専門学校学生の矯正治療では歯科矯正用アンカースクリューが有効です。
大学生、専門学生の矯正治療について
今月の話題は大学生、専門学校学生の矯正治療です。
受験勉強に支障が出るからと控えていた矯正治療を、大学、専門学校入学と同時に始めようと考えている方は多いと思います。
この年代は本人の矯正治療をしたいという強い意志があるため、歯科医師が指示したゴムかけなどの本人の行わなくてはならないことが守られる、コンプライアンスが得られ易く、歯科医師との協力体制を容易に確立することができるという利点があります。
矯正治療においては治療への本人の協力はなくてはならないものです。
矯正治療と親知らずの関係
この時期になると親知らずの萌出、あるいは歯列への接近が起こり、歯列不正をさらに促進することがあります。
矯正治療においては、歯列に親知らずが接触していると第2大臼歯の後方への移動に制限がおこりがちです。
臼歯の後方移動が矯正治療に必要な場合は親知らずがそれを妨害することになり、場合によっては埋伏している親知らずを抜歯する必要があることがあります。
大臼歯の遠心移動(後方移動)はまだ骨の活性があるため概ね成功しますが、後方移動した大臼歯の近心への戻りも起こりやすく、矯正治療用アンカースクリューの利用が治療の成功への確率を上げます。
小中学生の場合は、大臼歯のコントロールは主にヘッドギアにて行います。
ただ、ヘッドギアは家以外では使えないため効果に限度があります。
その点歯科矯正用アンカースクリューは一度埋入して定着すると昼間も効果を発揮しますので、例えば夜に装着を忘れて大臼歯が前方へ戻ってしまうことがありません。
忙しい大人でも十分効果を発揮します。
歯科矯正用アンカースクリューとは
歯科矯正用アンカースクリューはチタンの合金でできたスクリューです。
矯正治療の間のみ一時的にあごの骨に埋入し、チェーンやゴム、コイルなどを取り付けて歯の移動を行います。
直接歯と結びつけて位置を保持させたり、矯正装置と結びつけて間接的に装置の補助を行ったりします。
埋める場所は歯槽骨、口蓋です。麻酔をしたのちに埋入するため埋入時の痛みはありません。
抜歯の時のような術後疼痛もごくわずかです。
ヘッドギアのように、昼間外している間に夜間移動した分が戻ってしまったり、寝る時に忘れて寝てしまったりなど、使用の効果を損なう要素も少ないため、治療途中の脱落以外、治療計画の変更が少なく済みます。
治療途中の脱落は力系への影響が大きく、大幅な治療計画の変更が必要になります。
歯科矯正用アンカースクリューは定着が大事なので、埋入直後は決して触ったり、揺らしたりしないようにしないといけません。
埋入した歯科矯正用アンカースクリューを定着させる間は歯科矯正用アンカースクリューに負荷がかからないようにすることが必要です。
通常矯正治療が終わるまでそのまま埋めたままにしておきます。
歯の移動に伴いその位置が矯正治療に障害になってきた場合は除去し、埋入し直します。
矯正治療終了後はすべて除去します。除去するときも軽い麻酔のみで問題なく簡単に取れます。
口の中なので傷もすぐに治癒し、口蓋の場合は小学生でも埋入ができます。
歯列全体の遠心移動はさすがにできませんが、部分的な後方移動には有効です。
小中学生よりは移動の抵抗があり、成功率が落ちている年代であることから、大学生、専門学校生には治療のクオリティを高めるためには歯科矯正用アンカースクリューは有効です。
抜歯してスペースを作り、前突を改善したり、叢生を解く場合も抜歯スペースへの大臼歯の近心移動を確実に止められます。
下顎過成長による不正咬合の場合は、男子でもほとんど成長による下顎の変化がなくなっていることが多く治療計画の変更などが発生しなくなるため、個人差もありますが待つ必要なく矯正治療を進めることができます。