マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザラインは米国アライン社の商品名です)は、スタンフォード大学の2人の学生が考案したコンピュータによる新しいデジタルの治療技術です。
今月の話題はマウスピース型カスタムメイド矯正装置です。(インビザラインは米国アライン社の商品名です。)
現在マウスピース型矯正装置の生産会社は世界中で60社以上あり、各社混戦状態にあります。米国アライン社の特許が切れたものが出てきたことにより、今まで手の出なかった会社がマウスピース業界にどんどん参入してきています。その中でインビザラインは先行スタートしたこともあり、世界中の多くのシェアを占有しています。日本でもマウスピース型矯正装置を作るメーカーは複数ありますが、インビザラインは最も大きなシェアを占めています。
マウスピース型矯正装置の利点としては
①比較的目立ちません。透明なプラスチックでできているため、よく見るとわかりますが、従来の針金タイプの矯正装置に比べると目立ちません。
②痛みが少ない。基本的には1週間に一度新しいマウスピースに取り替えます。一枚前のマウスピースに比べて次のマウスピースは0.25mm歯が動いた状態で作られています。新しいマウスピースをはめることで、新しい位置に向けて歯が押されて、移動します。それを連続的に行うことで矯正治療を行います。歯根膜の幅の中で移動させるため、痛みの発生が小さいことも利点です。
③金属を使わないので、金属アレルギーの人でも治療できます。従来の方法では必ず針金が使われるため、ニッケル、クロムなどの金属が唾液に触れてイオン化し、金属アレルギーを起こしていました。
④外せるので歯ブラシが簡単にでき、虫歯、歯周炎になる率が低くなります。
インビザラインの様々な力のかけ方が薄いプラスチックのマウスピースにこめられています。累計10億ドルの研究開発費と879件の特許が米国アライン社の事業を支えています。インビザラインは世界中で累計550万人以上の人の矯正治療に使われています。もともとは歯科医ではないスタンフォード大学の2人の学生が考案した方法ですが、矯正治療を大変革しました。
インビザライン自体は南米コスタリカという国で生産され、世界中の患者さんたちに向けて送られてきます。コスタリカではコンピュータエンジニアがデジタル化した歯型のデータをコンピュータの中で分析し、移動をシュミレーションし、各担当歯科医と対診しながら歯科医師の指示で移動の順番、スピード、どこのどの歯をどの方向に動かすかなど細かい点についてインターネットを通じて相互に話し合いながら治療行程を構築します。やり取りを何度か行った後、歯科医師の了解が得られた段階で、マウスピースの制作に取り掛かります。3Dプリンターにて歯の移動に合わせた各歯型を作り、薄いプラスチックの板を各歯型に合わせて成形し、切り出して製品化します。この工程はすべて工場の機械がオートメションで流れ作業で生産します。インビザラインはコンピュータによる新しいデジタルの治療技術です。