中学生の矯正治療は大臼歯の遠心移動が成功する確率が高いため抜かない矯正治療には有利です。

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中学生イメージ


今月の話題は中学生の矯正治療です。

中学生の歯と顎の成長

中学生の時期になると個人差はありますが、数本の乳歯が残っているもののほとんどが永久歯となっています。まだ第2大臼歯は萌出していないことが多く、上顎後方の骨は第2大臼歯が萌出するにつれて形成されていきます。

歯槽骨は歯があることで形成されるため、第2大臼歯が下りてくるにつれ上顎骨の後方部分が形成されます。上顎骨の前方部分の前方への成長はもうほとんどありません。上顎骨の前方の骨が前方へ成長しないため両側上顎第一大臼歯より前方にある限られたスペースに合計10本の歯が萌出し整列します。

第1段階矯正の効果

上顎第2乳臼歯は後続歯である上顎第2小臼歯よりも幅が広いため、第1段階の矯正治療によって第1大臼歯の位置をキープしていると、不足気味なスペースの獲得において有利になります。

第1段階の矯正治療を施していないと、第2乳臼歯の脱落とともに確保されていたスペースは第1大臼歯の前方移動がおこり失われます。同じことは下顎乳臼歯群についてもいえます。

このように、第1段階の矯正治療はこのスペースの維持に大いに役立ちます。最終的に歯槽骨の発育が未発育で、スペースが不足であれば八重歯となったり、出っ歯となったりします。

八重歯と出っ歯

八重歯の場合は最後に生えてきた犬歯がスペースの不足により、歯根部分は歯槽骨の中にあっても、幅の大きな歯冠部分は歯列に入りきらなくて、横に飛び出した状態です。

出っ歯の場合はやはり歯根部分は歯槽骨の中にありながら幅の広い歯冠部分は歯槽骨に入りきらず、前方へ傾斜移動した結果、傾斜の強い前歯を呈することにより発現します。

八重歯になるか出っ歯になるかは口唇の状態により決まります。口呼吸が強い人は出っ歯となり、口唇が閉じている傾向が強い人は八重歯となります。

いずれにしても両側第1大臼歯の前後的(近遠心的)位置が原因となったスペース不足が引き起こした八重歯、出っ歯であれば第1大臼歯の位置を正常な位置に移動することが根本原因の改善となり、歯数の減っていない正常歯列の獲得につながります。

なぜ中学生の次期が矯正治療で重要なのか?

中学生時代は第1大臼歯の遠心移動には有利な時期です。骨も柔らかく、大臼歯の位置の改善に有利なため成人よりはるかに抜歯を必要とする率が少なくなります。歯列の後方移動(遠心移動)は歯列全体を一度に移動することは不可能です。

2段階に分け、大臼歯の後方移動(遠心移動)を先に行ってから残りの前方部の歯列を、移動した大臼歯の位置に合わせる方法が行われます。このとき第2大臼歯が萌出していると大臼歯の遠心移動の成功率は低くなります。

第2大臼歯の萌出していない中学生の段階で大臼歯の遠心移動をすることが成功の確率を高めます。下顎前突などの傾向を持つ方の場合はまだ下顎骨の成長が続くことが予想されるため、本格的な歯の矯正治療は控えることが多いでしょう。

下顎骨の成長がある程度収まった時期から診断と治療が始まります。男子と女子では骨の発育成長のパターンが異なるため、同時期には開始しません。一般的に男子のほうが遅れての開始になることが多いでしょう。

中学生の叢生、出っ歯の矯正治療は骨の代謝が旺盛であるこの時期が本格矯正治療(矯正治療の第2段階)にとって最適な時期です。