歯の遠心移動で得られる効果

立川の矯正歯科、山下矯正歯科です。
今月の話題は歯の遠心移動の効果です。

歯の移動は主に2種類ある

歯の移動には傾斜移動と平行移動があります。傾斜移動は文字通り倒れるような移動の仕方です。平行移動はそのままの角度で移動をする移動様式です。自然な歯の移動はほとんどが傾斜移動です。

歯根尖を支点とした傾斜をしつつさらに歯根尖が前方方向へ移動することもあり、これは平行移動と傾斜移動の混合になります。萌出後の咬合力あるいは口唇などの態癖により歯は移動されるからです。

回転移動が加わると変化は複雑に

これに回転移動が加わることで、歯列の変化は複雑化します。不正咬合の方のレントゲンを見ると歯冠部は複雑に移動しているにもかかわらず歯根尖の位置はきちんとそろっていることが多くあります。

これは歯が主に傾斜移動をしているからです。この場合、歯根尖を中心に歯冠部分が起き上がると、不正咬合のかなりの不正部分が解消されます。見かけの不正咬合がなくなり、本当のあごの大きさと歯の大きさのアンバランスがわかります。

犬歯の歯冠がどこに来るのか予想する

例えば、下顎の犬歯が前方向へ倒れて八重歯状態になっていることがよくあります。このとき歯の歯冠部分だけを見るのではなく歯根尖部分の位置を想像します。
実際には見えませんが、想像した犬歯の根尖を中心に犬歯が起き上ったら、今の歯列のどこに犬歯の歯冠が来るのか予想します。

抜歯しなくても同じ結果が得られる?

現在の第1小臼歯の歯冠の位置、稀には第2小臼歯の歯冠の位置まで起き上ると来てしまうことがあります。第一小臼歯を抜歯して犬歯と位置を取り換えたことを想像すると、仮に犬歯を後方へ起き上がらせることができたのならば小臼歯は抜歯しなくても同じ結果を得られたわけです。

力の作用点と歯の移動

さらに矯正治療で針金をつけると、歯にかかる力の作用点は歯冠のブラケットです。倒れている歯に矯正装置をつけて起き上るようにばねをかけると歯冠部の針金をつけた位置を中心に歯根を前方へ移動しながら立ち上げようとします。

実際は抜歯スペースがあるときは歯冠は後方へも移動しながら立ち上がりますので、歯冠の位置は後方へも移動しますが、歯根尖の位置は最初より、明らかに前方へ移動します。全体として歯列は前方へ移動して終わります。

歯の遠心移動を取り入れると、歯がより動かせるように

前歯の叢生がきつい場合は前歯をやや前方向へ倒した角度で、終わることがあるのはそのためです。後方移動を組み込まずに非抜歯矯正治療を行うと歯列が前方方向で収まることがあり、歯の脇をやすりで削り、歯冠幅を細くすることで、対応します。歯の遠心移動(この場合は遠心方向への立ち上がり)を治療に組み込むことで歯の移動の可能な範囲が広がります。