良くない態癖で側頭骨が前方へ回転、移動すると蝶形骨も前方へ倒れこみ、前頭骨がのしかかるように移動してきます。顎関節の機能異常はここからも発生します。

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今月の話題は顎関節の受け側の骨です。

顎関節の構造は上顎の受け側の骨と下顎骨の骨頭から構成されています。
下顎骨は咀嚼時や会話時にたくさん動くため、顎関節の機能というと下顎骨の位置だけに注意が行きがちです。また上下の歯が噛み合うことで、下顎骨の位置は多くの影響を受けるので、儼み合わせにも注意が向けられます。

一方受け側の骨(側頭骨)はイメージとしては不動のように考えられているためあまり詮索されません。しかし、頭蓋骨には多くの縫合があり、縫合が癒着していないということが示すように頭蓋骨の骨は縫合部で可動性があります。レントゲンで見ると頭蓋骨は左右非対称に変形していることがしばしば見られます。カイロプラクティックの方々やオステオパシーの方々は頭蓋骨は呼吸するように常に自律的に動いていると考えています。
関節窩をもつ側頭骨も不動ではなく、外力で移動すると考えるのが自然でしょう。側頭骨は咀嚼筋の影響を受けるため圧力を緩和させるショックアブソーバーの構造をもった縫合を頭頂骨との間に持ちます。
側頭骨の錐体の部分には体のバランスを保つ三半規管が入っており、体の平衡を保っています。三半規管がおかしくなるとめまいが起こり、気分が悪くなり、立っていられなくなることもあります。顎関節症を発症した人の中にはめまい等の付加的症状を持つ人がまれにおられるのはこの三半規管の異常が考えられます。三半規管の入っている側頭骨の移動があった故の顎関節症と考えるとめまいとの関連が説明できます。
咀嚼筋が働き、持続して噛みしめる力がかかると側頭骨は咀嚼筋の引っ張る力で前方下方へ引かれ、移動します。正面からのレントゲンを撮った時に頭の両サイドに側頭骨が耳のように尖って写ることがありますが、これは側頭骨が上方へ移動したときの像を捉えたためです。通常は上下にスライドしながらも中立位にありますが、噛みしめているような持続的な力が作用したり、また筋肉が硬化していると、戻る間もなく常に縮む方向に移動が続き、側頭骨の回転と移動が固定化します。側頭骨の前方への回転が起こると顎関節窩の位置も変化し顆路角も変化します。ここで機能的な影響が始まります。側頭骨が前方へ回転すると蝶形骨も前方へ倒れこみ、前頭骨は顔面頭蓋にのしかかるように移動してきます。頭蓋骨全体が互いにはまり込むような形となります。はまり込んだ骨の場合、仙腸関節に代表されるように自然な動きができなくなり、いわゆる噛みこんだ状態となると考えられます。

頭蓋骨の中では脳脊髄液が循環しており、頭蓋骨は脳脊髄液の流れに応じたゆっくりした呼吸の動きをしているといわれています。頭蓋骨を構成する骨それぞれが自由に動けるようになっていることが必要でしょう。頬杖を突いたり、机に突っ伏していたり、両手であごを支えたり、うつぶせ寝、かみしめ、TCH等は頭蓋骨の変位と頭蓋骨間の儼み込みを引き起こします。頭蓋骨、顔には外からの力がかからないようにすることが大事です。顔の変形は体全体の変位につながります。