寝ているときの歯ぎしりでは、ほがらかな解放された表情をしていることが多い

今月の話題はブラキシズムです。ブラキシズムとはくいしばり、歯ぎしり、タッピングなど、寝ている時のみならず、起きている時も行なわれる、咀嚼運動とは違う下顎の動きをいいます。 ブラキシズムと関連するといわれている諸問題としては、睡眠の質(睡眠障害、無呼吸症候群)、精神心理問題(ストレスフルな生活、うつ症状)、身体症状(頭痛、肩こり、首こり、めまい、耳鳴り、目の奥の痛み、腰痛、手足のしびれ等)歯科領域問題(顎関節症、口腔顔面痛、咬耗、骨隆起、破折、咬合性外傷,舌頬粘膜圧痕、咀嚼筋障害)が指摘されています。
ブラキシズムをしていると自覚している人の82%は実際にはブラキシズムをしていません。反対にブラキシズムをしていないと思っている人の19%にブラキシズムがあったという研究があります。
家族や、同室者による指摘がないとブラキシズムの認識は難しく、正確ではありません。歯の咬耗度とブラキシズムとの程度の関連性もありません。
頭頚顎部の自発痛、運動痛、頭痛、筋触診のスコア、舌のスキャロップ状の圧痕、頬粘膜の圧痕、なども有意性はありませんでした。
ブラキシズムはストレス発散の一つの方法です。実際ブラキシズムの最中はほがらかな解放された表情をしていることが観察されます。
ブラキシズムの増大因子としては、不安、ストレス、性格、遺伝、があります。関連性があるものとしては外傷、睡眠呼吸障害、睡眠に関連した覚醒(胃の中に内容物があるなど;逆流性食道炎の原因)、薬物、アルコール、カフェイン、喫煙があります。
形態学的な要因(口腔顔面の骨格の解剖学的要素、咬合や顎関節の形態的要素)は原因となっていないことがわかりました。何か気になることがあるといてもたってもいられなくなり、いろいろな病院に行って結果を聞いたり、病院で異常なしと言われるとさらに不安になる傾向を持つ人は、ブラキシズムを発症している人に多いことも報告されています。
一方、顎関節症は、初発因子には大開口、堅固物咀嚼、長時間歯科治療、過髙(低)修復物、むちうち症、寝ころんで咀嚼、顔の殴打があります。
顎関節症の持続因子としては、ブラキシズム、楽器演奏、頬杖、うつ伏せ寝、パソコン姿勢、繊維筋痛症、リウマチ、うつ、不安、薬物、ストレスがあります。
顎関節症の中身は、繊維筋痛症(マイオファシアルペインMyofascial pain)が全体の78%を占めています。その他として関節痛、関節炎等、があります。
筋肉の問題が咀嚼筋を固めて動かなくしていると考えられます。
ブラキシズムにはスプリントが有効ですが、顎関節症にはスプリントは50%程度しか有効ではありません。顎関節症の治療には、生活習慣の改善、TCHのコントロール、運動療法、マッサージ療法、温熱療法、ストレス、トリガーポイントブロック注射、等が行われます。