“オクルーザー”

今月の話題は、噛み合うときの力の入り方、大きさを読み取るコンピューター計測装置“オクルーザー”です。咬合に関する良くない力は頭痛や肩こり、全身の疲れなど全身的な影響を体に及ぼします。体は、使い方(機能)の変化に応じて、形が変化(リモデリング)します。形の変化があると、体の機能が変わります。矯正で歯列を整えるとよい噛み方に変わり、体が楽になるのはそのためです。

オクルーザーの検査結果には、咬合面積、咬合力の二つの数値があります。咬合面積の標準は10~20m㎡、咬合力の標準は体重の10倍です。50Kgの人であれば500N(ニュートン)が目安です。

先月計測した10歳の女の子では面積15.5m㎡、咬合力510.8Nでした。面積の数字は良くても実は奥歯しか当たっておらずその当たったひとつひとつの点も非常に大きいものでした。これは普段から歯と歯を噛んでいる癖があり、歯が磨り減り、点接触ではなく面で接触し始めた証拠です。体重も28Kgということで、510Nという咬合力は強すぎ、力の制御が出来ていないことがわかります。レントゲン検査では、アゴのえらの骨が増殖していました。いつも筋肉に力が入っているためです。顎関節の骨は噛みしめによる圧迫により、太くて短い形でした。歯列の形態もきゅうくつな噛み合わせでした。きゅうくつな噛み合わせは噛む位置に遊びがなく、ピンポイントでしか噛めないため、かみ締め癖を誘発します。グラビコーダー(動揺度計)による体の揺れもとても大きなものでした。噛み合わせが不安定なため、アゴが体のバランスをとれていないのです。検査結果はすべて癖で噛みしめていることによる悪い結果を示唆していました。歯のもちを良くするためにも、体の負担を減らすためにも、これらの数値を適正な数値に変える必要があります。矯正治療で形態を変え、その結果として機能が変わり、数値が良くなることを目指します。もちろんご自分でもかみしめている癖をやめる努力をしないといけません。