仙腸関節と噛み合わせ
今月の話題は腰骨(仙腸関節)とかみ合わせです。今まで快調に使っていた詰め物が取れて、詰めてもらってもすぐまた取れてしまうといったことはないでしょうか?歯が痛いので歯医者さんに行って診てもらっても虫歯ではなく、なんともありませんよと言われたことはないでしょうか?そんなときに一番疑われるのはかみ合わせの変化があった場合です。そのごく近い頃に尻餅をついたり、転んだり、ジェットコースターに乗ったり、中腰で無理な姿勢を続けたりしたことがあればたぶんそれが原因になっていると考えられます。
尻餅をついたり、転んだり、ジェットコースターに乗ったり、中腰で無理をすると、骨盤を形作っている仙骨(骨盤を形作る真後ろの骨)と、腸骨(骨盤の左右の骨)の間にある仙腸関節で、仙骨と腸骨の接触状態がずれてしまうことがあります。ずれ方には2種類あり、仙骨に対して腸骨が前方方向にずれるタイプと、仙骨に対して後方にずれるタイプがあります。外傷性の変化のときは、ほとんどの場合、仙骨に対して腸骨が後方に回転しながらずれます。仙腸関節はねじを締めるようにきゅっと関節間の隙間がなくなるように食い込んでいきます。腸骨が仙骨に対して後方へ食い込んでしまうと食い込んだ側と食い込んでいない側で、骨盤の高さが左右で違ってきます。股関節の高さも変わるため、見かけの足の長さも左右で違ってきます。そのため身体が傾き、顎関節にかかる力も左右で違ってしまい、下あごの噛む位置が変わっていきます。同時に骨盤と体幹の向いている角度も変わるため、身体のねじれができます。これも下あごの位置を変えるため、かみ合わせは正常な位置からずれていきます。正常な位置で作られていた歯並びはいっきょにうまく噛めない歯並びになり、歯が浮くといった感じを持つこともあります。カチカチしたときの音も違っています。あごの動き方も変わるため、噛んだときにそこばかり当たってしまうところができて、痛みの原因となったり、詰め物のはずれる原因となります。噛むたびに特定のところが当たり、虫歯や特定部位の歯周病を作ることもあります。
身体の状態が元に戻っていないときは、歯のあたり方が違うため、詰め物を詰めなおしてもまたすぐ取れてしまいます。身体の調子が悪いときの噛み合わせは本当のよい噛みあわせではなく、安定した噛み合わせではありません。歯科治療は、身体の調子のよいときにするのがベストです。