睡眠
今月の話題は睡眠です。富山大学の10年間の調査では3歳のときに睡眠時間が9時間以下だった子供は11時間以上寝ていた子どもに比べて1.6倍肥満になる確率が高まっていました。別な調査で、20代の健康な男性で、1日に4時間の睡眠のときは10時間の睡眠のときと比べて、脂肪細胞から分泌されるレプチン(食欲を抑制し代謝を促進する)の血中濃度が18%減少し、胃から分泌されるグレリン(食欲を亢進する)の血中濃度が28%増えていました。睡眠不足では肥満が誘導されやすいと考えられます。
睡眠不足の症状は、目覚めが遅く、無理に起こさなければ起きない、いつでも寝られる、昼間元気がなく2時間以上の長い昼寝をする、眠る時間が遅い、一晩中にわたるいびき、なかには無呼吸になっていたりします。無呼吸は、いびきをかいているときに、胸が呼吸に伴ってへこむことで確認します。夜中に何度も目を覚ましたり、大人でも尿が漏れたり、子供さんではおねしょをしたりします。すぐに怒ったり、攻撃的になることもあります。漏斗胸も関連があるようです。あまりに肥大した扁桃が原因である場合は、扁桃を耳鼻科でとることも選択の一つです。とってから4ヵ月後に、身長が4センチ、体重が4キロも増え、元気になった例もあります。睡眠障害は予想外のマイナスになっていることがあります。
寝ているときにいびきなどで、苦しい呼吸をしていると、深い睡眠がとれず、成長ホルモンの分泌が十分でなくなります。成長ホルモンは大人でも寝入りばなに集中して大量に分泌されます。交代勤務でよく眠れない人たちや、夜勤で睡眠不足のときに胃腸障害が多いのは、睡眠不足で、消化管粘膜の修復がなされないからです。肌につやがないのも成長ホルモンの分泌が十分でないときです。皮膚の細胞が分裂新生しないからです。成長ホルモンは、長く寝ていれば分泌されるものではありません。寝始めの深い睡眠が必要です。睡眠は脳や身体を休ませているだけではなく記憶を整理したり、体の修復をする時間でもあります。