右利きの人の言語活動では左半球に強い活動が見られます。左利きの人の言語活動では脳の使い方が3種類あります。

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今月の話題はfMRI(ファンクショナルMRI)です。

fMRIはMRIを利用して脳や脊髄の活動に関した血流動態を視覚化する方法です。脳が活動するときには、微細な静脈中の赤血球の脱酸化ヘモグロビン濃度が減少します。これをMRI信号としてとらえます。
詳しく書きますと、脳が活動すると酸素を消費する。すると微細静脈赤血球中の脱酸化ヘモグロビンの濃度が増えるように思いますが、それは一時的なものにすぎません。酸素を消費することは、赤血球中の酸素化ヘモグロビンが細胞に取り込まれ、酸素を細胞内に残し、脱酸素化ヘモグロビンとして静脈血管内に排出されることです。酸素が消費されると酸欠状態を回避するため血流量が増加し、静脈血管内の酸素化ヘモグロビンの濃度が増します。細胞で消費される酸素量はわずかなのに、供給される酸素化ヘモグロビンの量は血流とともに増大し、供給過多となって、消費されなかった赤血球の酸素化ヘモグロビンが静脈に流れ込んでいきます。すると静脈中の脱酸素化ヘモグロビンの数は相対的に減少します。こうして脱酸素化ヘモグロビンの、濃度が低下します。脳が活動する→静脈および毛細血管における赤血球中の脱酸素化ヘモグロビンの濃度が減少することになります。(Bold効果)

脱酸素化ヘモグロビンは常磁性体で、外部磁場と同じ方向へ磁化される性質があります。一方、酸素化ヘモグロビンは反磁性体で、外部磁場と反対方向へ磁化されます。脱酸素化ヘモグロビン濃度が減少すると磁場のゆがみが軽減されるのでMRI信号強度が上昇します。すなわち脱酸素化ヘモグロビンの濃度が減少すると水素原子の磁気共鳴信号が上昇し脳の活動状態が測定できます。

ひとつの精神活動を行うと、特定の脳の一部分が強く活動します。その結果、その部分の脱酸素化ヘモグロビンの濃度が減少し、MRIはそれを脳の画像として表示します。人の顔を見て名前をいうときなど、精神的なこころの動きにより脳が活動するとき、どのように脳が活動したかを測定するには、人を見るという入力、名前を言うという出力のためなど、名前を思い出す以外の脳の活動が加わり、純粋に名前を思い出すという心の働きによって脳のどこが活動したのかがわかりません。そのため、入力や出力のない純粋課題をおこなうことで、脳の活動を測定します。
欧米ではFの付く言葉を言う課題を与えます。日本では<は>の付く言葉を言うなどで検査したり、しりとりを行ったりします。しりとりをしているときの信号から何もしていないときの信号を引き算することで、しりとりしているときの活動を求めます。
右利きの人のしりとり課題では左半球の前頭葉に強い活動が見られます。左利きの人の言語活動ではその70%は右利きの人と同じく主に左半球が活動するといわれています。残りの30%は主に右半球が活動していたり、左右両方の半球が活動していることが分かっています。左利きの人の脳の言語活動には3種類あります。