共食(きょうしょく)

今月の話題は共食(きょうしょく)です。人は生きていくために食べ物(栄養素)を体に取り込まないといけませんが、人は単純に食べるのではなく、持ち帰り、仲間と一緒に食べるということをします。

最近の傾向として、一人で朝食や夕食をとる子供が増えてきていることが、知られています。小学生の40%以上が一人で朝食を食べています。一人で食べる食事を孤食と呼んでいます。お母さんは食べさせている間に仕事に行くか、忙しく家事をしているのでしょう。同じ食卓を囲んでいても一人ひとりが違うものを食べていることは個食といいます。お父さんはとんかつを食べ、子供はスパゲッティを食べているなどです。

統計では、孤食の場合食事量が少なくなります。孤食でない方が、食事量は多くなります。親密な人と一緒であれば食事のおいしさも向上しますので、栄養の取り込み率も、よくなります。

人のような雑食性の動物には新しい食べ物に対して、食べることを躊躇させる本能があります。害のない食物を取り入れることが必要だからです。これを新奇性恐怖と言います。その食物が食べられるものであるかどうかは食べてみないとわからないのですが、一緒に食べている人が食べれば、食べることができるものと判断できますし、親しい人であればあるほど安心して食べることができます。子供に直して考えると、新奇性恐怖は好き嫌い、食わず嫌いに発展します。

懇親会や、歓迎会などで一緒に食事をとると、お互いの親密度が増します。恋人とのデートでは必ず食事が重要な要素となります。お祭りや、季節の行事すべてに、一緒に物を食べることが含まれています。一緒に物を食べるということは人と人のつながりを保ち、一体感を育て、さらには社会の潤滑にもなっていることがうかがえます。その人の社会的な成熟性も培われていくことでしょう。忙しい時代ですが、意図的に家族一緒に同じものを食べる、そして、その時間を作ることはとても意義のあることと考えられています。