手足口病について
手足口病について
手足口病は悪くすると死亡することもあります。
今月の話題は手足口病です。
手足口病は手のひらや足の裏、足の甲、口の中に小さな水膨れのような発疹を引き起こす病気です。
発症者の9割は小児です。
コクサッキーウィルスA6(CA6、CA16、CA10)、エンテロウィルス71(EV71)に感染することにより発症する感染症です。
特にエンテロウィルス71に感染した場合の大流行では中枢神経系の合併症を高率で起こし、死亡例も1990年マレーシアでは30例、1998年台湾では78例が報告されています。
ウィルスの型が複数あるため一度感染しても、他の型、別のウィルスに再度感染し発症することがあります。
手足口病の感染経路は?
感染経路は咽頭から排泄される飛沫感染ですが、オムツ交換やドアノブなどに付着したウィルスに触れてしまい感染する(接触感染、糞口感染)もあります。
ウィルス感染なのでアルコールは効果がありません。
手足口病の症状について
感染すると3~5日の潜伏期間を経て手のひら、足の裏、甲、ひじ、ひざ、お尻などに小さな水ぶくれが現れます。
水ぶくれは痛みやしびれなどを起こすことがあり、口の中の水ぶくれは口内炎のような大きな潰瘍を形成することもあります。
接触痛を持ち、飲食が十分できなくなることもあります。
足の裏全体にとげが刺さったような感覚になり、ペンギンのようなよちよち歩きしかできなかったという感想もあります。
発疹は1週間で後遺症なく消えます。
手足口病は特徴的な症状のため特に定まった検査ではなく症状によって診断されます。
発熱後、時間をおいて発疹が出ることもあり診断が難しいことがあります。
手足口病は大人も感染する?
大人も体力が落ちると感染します。
手洗いなど基本的な対策に加え十分な睡眠と食事をとりながら子供の看病を行う必要があります。
発症者の3割に38℃以下の微熱が現れます。
多くは終日で消退します。
増殖したウィルスが血流に乗って髄膜や脳、心筋に到達すると髄膜炎や脳炎、小脳失調症、心筋症を併発して重症化するなどの重篤な合併症を起こすことがあります。
最近のコクサッキーウィルスA6の感染で、症状が軽快した1か月以内に爪が剥がれ落ちるという症状を起こすことが報告されています。
その後爪は新生します。
手足口病の薬はある?
手足口病の抗ウィルス剤は開発されていないため治療薬はありません。
対症療法として解熱剤、鎮痛剤が投与されます。
食事が十分に取れない場合は脱水に気をつける必要があります。
治癒後も便からウィルスが検出されるため基本的な手洗いはしっかり行う必要があります。
感染しても発症しないままウィルスを排出している場合もあり、発症した人を隔離しても有効な感染対策とはなりません。
手足口病では発熱やげり、頭痛、だるさ、口内の発疹で普段通り食事や水分が取れないなどの症状が無ければ、保育園や学校を休む必要はないとされています。
症状がある場合は症状が回復してからの投稿や登園が望ましいとされています。
学校で予防すべき伝染病1~3種に含まれていないので、治癒証明書や感染後登園(登校)許可証などは必要ありません。