弱った腎臓を回復するためにも必要なプロテインについて
プロテインの摂取について
プロテインは弱った腎臓を回復するためにも必要です。
今月の話題はプロテインを飲むと腎臓病になるかということについてです。
腎臓の役割り
腎臓は血液をろ過して尿を作る臓器です。
老廃物や余分な水分をろ過して排泄し、体内の水分を調節し、イオンバランスを調整します。
血圧をコントロールする役割もあります。
またビタミンDを活性化させて骨を丈夫にする役割もあります。
腎臓には血液をろ過して尿を作るため非常に多くの毛細血管が集まっています(糸球体)。
このため血管にダメージを与えるような食事は腎臓に良くありません。
糖質の多い食事をとると、血管が損傷し腎臓へのダメージが蓄積します。
腎臓病におけるタンパク質制限について
腎臓ではタンパク質の代謝の過程で尿素窒素を作ります。
腎機能が低下しているとその尿素窒素が体外へ排泄できずに血中に蓄積し尿毒症を引き起こします。
このため進行した腎臓病ではタンパク質制限が指導されます。
腎臓障害が進むにつれタンパク質制限が増えますが、通常量の25%程度です。
腎臓病学会のガイドラインではステージ1と2ではタンパク質の制限はなく、ステージ3aで通常の0.8~1.0、ステージ3b以降で通常の0.6~0.8となっています。
タンパク質は重要な栄養素
タンパク質は生きる上での重要な栄養素であるため回復にもタンパク質が必要であり、若干の制限にとどまります。
超低たんぱく食が効果があったという報告もありますが、死亡率が逆に高まったという報告もあり、制限しすぎないようにというガイドラインです。
ウェイトトレーニングを行っている男性を対象に、体重1キログラムあたり2.51g~3.32gのタンパク質を1年にわたって摂取したとき肝臓、腎臓の機能、血液の数値に問題はなかったという報告があり、また健常者を対象として、高たんぱく食と低たんぱく食とで腎機能の影響を調べる研究では、高たんぱく食は腎機能に何ら悪影響を与えなかったことが示されました。
この時の高たんぱく食とは体重1㎏あたり1.5g以上の、またはタンパク質1日当たり100g以上を高たんぱく食と分類しています。
一日100g以上、または体重×2.5~3.3gの高たんぱく食を続けても腎臓が悪くなることは無いことがわかります。
むしろ高たんぱく食のほうが腎臓病に至るリスクが低く、腎臓病患者を対象としても低タンパク質は予後不良になることが多く、低たんぱく食は腎臓病に至るリスクを上げてしまいます。
低糖質高たんぱく食で腎臓病が改善したという例も報告されています。
腎臓が高血糖による害を受けやすい臓器だからです。
尿素窒素が高い?
健康診断で尿素窒素が高い、クレアチニンが高いと腎機能が低下していると言われることがあります。
プロテインを飲み始めるとタンパク質摂量取が増え、尿素窒素が増えます。
逆に尿素窒素の量が少ない人はタンパク質不足による質的栄養失調が懸念されます。
尿素窒素が低いから健康であるということではありません。
脱水でも尿素窒素は上昇します。
マッチョの人が健康診断でクレアチニン値が高く出て腎機能が低下していると誤診されることもありますが、クレアチニンは筋肉中のクレアチ二ンリン酸の代謝物なので筋肉量、運動量が多くなると値は高くなります。