睡眠と成長ホルモンについて
睡眠と成長ホルモンの分泌量には関連性がない
今回の話題は睡眠と成長ホルモンです。
成長ホルモンは骨を伸ばし、タンパク質の合成を促します。
脂肪を分解し、脂肪の沈着を減らす作用もあります。
脳下垂体から分泌され、分泌量は睡眠中に増えるとされています。
このホルモンは4~5歳以降では寝入ってすぐの深いノンレム睡眠時に多量に分泌されます。
成人と子供における成長ホルモンの分泌量
成人の場合、夜寝ないときがあると、その夜の成長ホルモンの分泌は認められなくなりますが、
それを補うように翌日の日中に成長ホルモンは分泌されます。
そのため最終的には一日の分泌量の合計は成人では差がありません。
1950年代の実験結果で、入眠時刻が遅くなっても早くなっても
入眠後すぐの時に成長ホルモン分泌のピークが来るという実験が行われました。
このとき、入眠時刻が遅くなった場合の成長ホルモンの分泌量の最大値が、
通常の時刻の入眠時刻の場合よりも低かったことから、
夜更かしした場合では成長ホルモンの分泌量が少なくなるという解釈が生まれました。
研究者自身は分泌量の低下については意味のある差とは述べていません。
また、子供の場合に成長ホルモンの1日の分泌量が変わらないという研究はまだ行われていません。
夜更かしの子供と早寝早起きの子供の身長を比較して、夜更かしの子供のほうが身長が高かったというリサーチもあり、成長ホルモンの俗説を否定する学者もいます。
体温と睡眠・覚醒のリズム
眠りは最高体温の後で寝入り、最低体温の後で目覚めます。手足の血管が拡張し、放熱し始めると眠りにつきやすくなります。ピークに達し体温を下げ始めた時点で入眠します。
体温と睡眠・覚醒にはリズムがあります。
コルチコステロイド(副腎皮質ホルモン、抗炎症作用)や、鎮痛効果のあるベータエンドルフィンは起床時に多く分泌され、メラトニン(睡眠ホルモン)は起床後14~16時間後に分泌されます。
睡眠時間と眠りの内容
睡眠は1966年の調査では5歳~13歳程度で10時間程度の睡眠をとっていると報告されています。
現代では子供も大人も睡眠時間はかなり短くなりました。
睡眠時間が短くても日常生活に支障のない短時間睡眠者(短眠者)と8時間は寝ないと頭がすっきりしない長時間睡眠者(長眠者)があり、これは遺伝性のものと考えられています。
長眠者と短眠者の眠りの内容では、深いノンレム睡眠の量は変わりませんでした。
レム睡眠、浅いノンレム睡眠、中途覚醒に時間を費やしていることがわかりました。
睡眠時間が短いと老化が促進され、また肥満の危険性も増すことがわかっています。
寿命が短くなるとも言われています。
地球の1日と体内時計の1日では多くのヒトの場合ずれがあり、体内時計は25時間であることが多く、
朝日を浴びることで周期が短い地球の24時間に体が同調します。
夜の光は生体時計の周期を遅らせます。