マグネシウム不足について
今月の話題はマグネシウム不足です。
マグネシウムについて
マグネシウムは精神的ストレス、運動により消費されていきます。
生命の維持に欠かせないATPはマグネシウムと鉄を使って作り出されます。
現代の食生活ではカルシウムが過剰になりやすく、マグネシウムは不足になりがちです。
精白する前の玄米や雑穀にはマグネシウムが豊富に含まれていますが、精白によりほとんどなくなります。
セロトニンやGABAを作る際にビタミンB6やマグネシウムが使われます。このことによりマグネシウムが不足すると、鬱状態、不安症状が惹起されます。
骨の強化、血流の促進、血圧の安定にも寄与しています。マグネシウムは乳酸を減少させるため疼痛の除去にも役立ちます。
塩化マグネシウム溶液(にがり)を肩などの痛む部位に塗りこむと、痛みが消退することが知られています。
体内のカルシウムとマグネシウムの関係
体内のカルシウムとマグネシウムはお互いに拮抗して存在します。生命の源である海水中のカルシウムとマグネシウムの重量比は3対1です。
人体内もこの比率で存在することが良いといわれています。
カルシウム錠剤を粉々にし、水に溶かして、溶け切らない状態になったところにマグネシウムを加えると、溶けずに残っていたカルシウムがきれいに溶ける実験が有名です。
人体内でも同じことが起こっており、カルシウム過多の状態が続くと組織にカルシウムの沈着が起こります。
カルシウムの骨以外の部分に沈着することを異所性カルシウム沈着といいます。
腎臓にカルシウムがたまると腎臓結石、膀胱全体にたまると膀胱の組織硬化により頻尿、動脈にたまると動脈硬化、肩に沈着すると肩関節石灰沈着症となり、痛みを発生します。
カルシウムの沈着により組織は固くなり、脊柱管狭窄症、後縦靭帯硬化症、心臓弁膜症、不整脈、肩関節周囲炎、腰痛、ぎっくり腰、片頭痛、不妊症、パーキンソン病、アルツハイマー病を引き起こします。
ATP合成に携わるミトコンドリア膜にカルシウムが沈着するとATP合成能力が低下します。
にがりで歯ブラシを行うと歯石の付きが低下する
口腔内のマグネシウムが不足である場合、唾液中の過剰なリン酸カルシウムがプラーク中に取り込まれ歯石となります。
にがりで歯ブラシを行うと歯石の付きが低下することが知られています。
マグネシウム不足を改善する方法
マグネシウム不足の改善には点滴、経口、経皮の3つの方法があります。
経口摂取は食物とサプリです。食物では未精白の穀類、豆(豆腐、納豆、きなこなど)、ゴマ、アーモンド、海藻、えび、あさり等にマグネシウムは豊富に含まれています。
食物だけでは不足であることが多く、経皮でさらに取り込むことが推奨されています。
湯船にマグネシウムを溶かし、マグネシウム温浴が効果的です。
風呂釜を傷つけないようナトリウムを抜いた硫酸マグネシウム(エプソムソルト)がよく使われます。マグネシウム温浴で、熟睡できるようになったり(不眠症の改善)、ADHDの改善、しみ・しわの改善、自閉症の改善、こむら返り、筋肉の痙攣、肩こりの改善、アトピー性皮膚炎の改善等の効果が報告されています。