ラウリル硫酸ナトリウムについて
今月の話題はラウリル硫酸ナトリウムです。
ラウリル硫酸ナトリウムとは
ラウリル硫酸ナトリウムは、歯磨き剤に入っている陰イオン性合成界面活性剤です。
乳化剤、発泡剤、洗浄剤として歯磨き剤、シャンプー、シェービングクリーム、洗顔せっけん、クレンジング製品、泡風呂、洗車用洗剤など多くの用途に使用されています。
ココナッツやパームオイルを原料とし、石油由来硫酸を添加、炭酸ナトリウムで中和して生産されます。
洗顔料やボディソープに配合しさっぱり感を得ます。泡立ちもよくなり、メイクの油分の分解に効果的です。
一般に固体表面に付着した汚れを除去するには、汚れの付着エネルギー以上のエネルギーを外部から与える必要があります。
付着エネルギーを最小にし、汚れを除去しやすくして再付着しにくくすることが必要です。
ぬれ、ローリングアップ(液体汚れが油滴となり固体表面から離脱する)、乳化、可溶化により分散溶解、すすぎが行われます。
ラウリル硫酸ナトリウムは発がん性物質?
ラウリル硫酸ナトリウムは脱脂作用が強く、強い肌荒れの症状を訴える人がいます。
分子量が400程度であり、皮膚から入りやすく脳や心臓、肝臓へ血流により取り込まれ蓄積し、発がん性物質として作用するとも言われています。
日本では1970年代に厚生労働省が綿密な検査をしましたが、発がん性はないとしました。アメリカ化粧品工業会でも発がん性は否定されています。
カナダ健康省やアメリカ癌学会では、ネットやSNSでの発がん性の指摘は虚偽であるとしています。
日本の研究では、濃度1%未満においてはわずかな皮膚刺激、それ以上の濃度ではわずか~中程度の皮膚刺激があると報告されています。
健康な皮膚につけっぱなしにする製品の場合、1%を越えないよう注意喚起されています。
洗い流し製品の場合では、濃度1~6%の開放パッチにおいて皮膚刺激なしと報告されています。
断続的で短時間の使用後完全にすすぐよう設計された製品においては、安全に使用できるとされています。
皮膚吸収性については濃度1%未満かつ22~24時間以下の曝露で、皮膚吸収性はほとんどなし~わずかと報告されました。
一方、洗浄力が強いため、シャンプーに配合されたときには頭皮の皮脂を強力に洗い落とし、頭皮や手指の過度の乾燥を起こすこともいわれています。
ふけやかゆみの原因となることも指摘されています。
まとめ
ドイツでは人体に有害と指定され、使用は禁止されています。アメリカでは6歳以下の子供への使用が禁止されています。
1991年デンマークでの実験では、肌の保湿維持機能が低下し皮膚刺激が促進されるとされました。
目に入った場合は大量の水で15分以上よく洗浄することを推奨されています。
近年は歯磨き製剤、シャンプー等への配合は少なくなっています。