延長ブリッジの新しい見解について
今月の話題は延長ブリッジの新しい見解です。
接着カンチレバー装置として片側のみの接着を行い、それに人工歯を旗指物のように付けたブリッジの方法が健康保険で認可されました。
ブリッジとは
歯が欠損したときに欠損部の機能を回復するため両脇の歯をつなぎ渡し、間に人工の歯を入れ、機能を回復する方法をブリッジといいます。
1本の歯の欠損の場合、両脇の歯をかぶせたり接着したりして、2本で3本分の働きをさせます。
入れ歯よりも使いやすいため、汎用されています。大規模なものでは、一顎全般にわたるものもあります。
接着カンチレバー装置とは
近年、接着カンチレバー装置として片側のみの接着を行い、それに人工歯を旗指物のように付けた方法が許容されるようになりました。
延長ブリッジとも云います。ブリッジ形態ではないので、接着カンチレバー装置と定義されています。
現在、橋渡しに使う歯の実質的欠損が少ない場合は接着ブリッジが適応されることが多くなりました。
これは接着剤の進歩に伴い、機能回復が可能であれば、可能な範囲内で削合する量を極力減らそうという考え方に基づいたものです。
この両側接着ブリッジにおいて、片方の維持部が脱離しながらも片側の接着のみで残り、装置自体としては脱離せずに機能している例が、以前から多く見られることが知られていました。
予後が悪くないことも多く、噛み合わせ等の状態次第では、最初から片側のみの維持設計で、欠損部分の人工歯部の機能回復を行ってもよいのではないかと考えられるようになりました。
接着カンチレバー装置の利点と欠点
既に海外では多用されています。接着カンチレバー装置の利点は1歯のみの歯質削除で済むこと、仮に脱落した場合でも装置の変形がほとんどなく、そのまま再装着できることが多いこと等です。
欠点としては、適応範囲が狭いこと、経年的に接触部位に間隙が生じることがあること等です。
適応となるのは上顎の2番目の前歯の欠損の場合と、下顎前歯1本の欠損の場合に限られます。
臼歯部は力が複雑にかかり、応力も大きいため適応ではありません。2本連続の欠損部位の回復も力の大きさの関係で適応ではありません。
歯周疾患に罹患していないことも重要です。強い歯ぎしりのある方も適応できません。動揺度については、軽微な揺れ程度であれば適応できます。
従来の2本をつなげる方法の場合、両側の歯がそれぞれ違う方向に回転したり、剥離力が加わることによりもう片方の歯も影響を受けて両方の歯がお互いに悪影響を与え合い、歯のもちがかえって悪くなることが観察されていました。
ブリッジ自体にも変形が起こります。片側1本のみの軽微な動きであれば2本目に対する影響はありません。
まとめ
健康保険にも導入されました。新しい概念の装置ですので、個人個人の状況により、適応が検討されます。