小児のマウスピース矯正の利点について

今月の話題は小児のマウスピース矯正の利点です。

混合歯列後期のマウスピース矯正には大きな利点があります。臼歯の後方移動も組み込むことができ、マルチな治療が可能となりました。

混合歯列後期のマウスピース矯正の大きな利点とは

特に混合歯列後期のマウスピース矯正には大きな利点があります。
通常第一段階の矯正治療(小児矯正治療)では床タイプ矯正装置あるいはスケルトンタイプ拡大装置、リンガルアーチ装置等により、上下顎に対しての育成的治療を主に行います。その他上顎4前歯にワイヤーを付ける方法もあります。永久歯の萌出スペースが不足している場合は拡大装置によって歯列を拡大します。これは小児にのみ可能な治療です。
機能矯正装置を用いた小児矯正では、下顎を前方へ誘導しながら筋肉の力を排除し歯列を拡大する治療が行われてきました。
ヨーロッパを中心とした矯正歯科医が、フレンケル装置、ビムラー装置、バイオネーター装置などを考案し、上下顎を拡大しつつ、後退した下顎を前方へ誘導しました。

臼歯の後方移動を組み込みマルチな治療が可能に

イギリスのジョンミューはこの治療を二つのステージに分け、ステージ1と2において床装置により拡大し固定し、ステージ3で咬合を維持したまま上下顎を前方へ誘導することを提唱しました。
マウスピースによる小児の矯正治療ではバイオネーター装置のように、マウスピースを用いて拡大しつつ下顎の前方誘導を行えるようになりました。

ただ、やはり拡大と前方誘導は同時に行うのは困難なことが多く、ジョンミューの言うように、期間の制約がなければ拡大と誘導を分けて行うことが良いようです。

臼歯の後方移動も組み込むことができ、マルチな治療が可能となりました。
以前は臼歯の後方移動はヘッドギア装置、床タイプ装置以外では不可能でした。
マウスピース治療ではこのような歯の後方移動も可能となり、臼歯の噛み合わせを早い段階で是正することができ、治療の幅を増やすことができます。前歯の早い段階での整列も可能です。

小児のマウスピース矯正治療は開始のタイミングが大事

小児のマウスピース治療はインビザライン社の規定により1年半のカバーとなっています。
乳歯の数が2本以下になってしまうと小児用のマウスピース矯正の対象にはならず一般の大人用のマウスピース矯正となり、かかる費用も格段に上がります。
早すぎる小児のマウスピース治療のスタートは歯列の交換の途中段階でカバーが終わってしまうことになります。
遅すぎると小児用マウスピースの適応になりません。小児のマウスピース矯正治療は開始のタイミングが重要になります。