ビタミンDについて
ビタミンDは花粉症にも有効であることがある
今月の話題はビタミンDです。
ビタミンDは日本人の8割で不足しているといわれています。
日焼けの原因になる紫外線UV-B(280~315nm)が皮膚にある7-デヒドロコレステロールを前駆体に変化させ、体温によりビタミンD3に変わります。
できたビタミンD3はタンパク質(ビタミンD結合タンパク質)によって肝臓に運ばれます。UV-Bは服やガラスを通りません。
肌の露出度10%で夏の直射日光を30分浴びると700~800IUのビタミンDが体内に作られます。
必要量は18才以上で8.5㎍(340IU)といわれています。顔と両手を露出の場合、札幌の夏で5分、冬で76分。つくばの夏で4分、冬で22分、那覇の夏で3分、冬で8分の日光浴が必要といわれています。
ビタミンDのとれる食物
ビタミンDのとれる食物は
①きくらげや干しシイタケなどのキノコ類
②内臓ごと食べられる小魚、シシャモやしらす干し、鮭
などがあります。
ビタミンDが不足すると血中カルシウムの濃度を維持するために副甲状腺ホルモンが増加し、骨からカルシウムを放出してカルシウム濃度を維持します。
そのため骨粗鬆症のリスクが高まります。また、ビタミンDには細菌やウィルスを殺すカテリジンというタンパク(抗菌ペプチド)を作らせる働きがあります。
βディフェンシンという抗菌ペプチドを皮膚上に作らせバリア機能を高めます。
ビタミンDは紫外線を浴びることで表皮で合成されますが、紫外線が減少する冬場には体内のビタミンDも減少するため抗菌ペプチドも減少します。
冬場に風邪やインフルエンザにかかったり、アトピー性皮膚炎が悪化しやすいのはそのためです。
花粉症の発症の原因の一つに腸の関与が指摘されています。
リーキーガット症候群(腸の粘膜細胞間の結合が緩んで隙間が大きくなるため分子量の大きいタンパク質や糖、花粉などが腸壁から体内に侵入し、過剰なアレルギー反応を引き起こす症候群)に対してビタミンDはこの緩んだ腸粘膜の結合状態を改善し、適切な免疫抗体の産生を促すことで花粉症を改善します。
ビタミンDはうつなどのメンタル症状にも効果的
脳内物質セロトニンを調節する作用もあります。うつなどのメンタル症状にも効果的です。
北欧諸国は自殺率が高く、日本でも冬季うつといい、日照時間の短い冬季に抑うつ症状の患者が増加します。
ビタミンDの減少が関与しているとされています。
これらの他ビタミンD不足は
①発達障害や統合失調症、自閉症、認知症
②子宮筋腫や月経困難症、不妊
③糖尿病や心血管系への影響
④大腸がんや前立腺がん、乳がんの予防
⑤免疫力低下、パーキンソン、サルコペイニア(筋肉量、筋力の低下、身体機能の低下)
などに関連すると言われています。