リチウム電池について

リチウム電池はさらなる開発が必要です。

リチウム電池について

今月の話題はリチウムイオン電池です。

リチウムイオン電池は負極にカーボン材料を用い、正極にリチウムイオン含有遷移金属酸化物を用いた非水系二次電池のことを言います。

充電で正極材量LiCoO₂からリチウムイオンが脱離し、負極材料カーボンにリチウムイオンが吸蔵されます。
リチウムイオンはプラスの電荷をもつため、電子は負極から正極に流れ込みます。放電はこの逆となります。

化学反応が伴わない事で、従来の電池と全く異なります。

正極材料としてCo系、Mn系、最近はNiMnCoの三元系新規正極材料も用いられるようになりました。

負極はグラファイト(黒鉛)あるいはハードカーボンです。
電解液は有機溶媒です。電気を通すプラスチックであるポリアセチレンを負極に利用することから研究が始まりました。

正極材料にコバルト酸リチウムLiCoO₂などのリチウム遷移性金属酸化物を用い、リチウムイオンを供給することで基本的な構造が固まりました。

その後ポリアセチレンはカーボングラファイトに変わり現代のリチウムイオン電池に発展しました。
水系電解質だと、1.5V以上の電圧で、水が電気分解してしまうため、1.5V以上の起電力を求めるには非水系の電解液が必要でした。

リチウムイオン電池の利点

リチウムイオン電池の利点は以下です。

①重量エネルギー密度はニッケル水素電池の約2倍、鉛蓄電池の約5倍であり、軽くできる。体積エネルギー密度はニッケル水素電池の1.5倍、鉛蓄電池の4~5倍であり、より小さくできる。

②電解質の溶媒が水溶液であると1.5V以上の電圧で水素と酸素に電気分解してしまうが、有機溶媒を使用することで、4V級の起電力を得ることができた。

③浅い重電と放電を繰り返すことで電池自体の容量が減ってしまう現象(メモリー現象)がないためいつでも継ぎ足し充電ができる。

④自然放電してしまう現象は月に5%程度で、ニッカド電池や水素電池の20%と比較して格段に良い。⑤放電で得られた電気量と充電に要した電気の比(充電/放電効率)は80~90%と比較的電気ロスが少ないため電力貯蔵用途にも適している。

⑥寿命が長い。リチウムイオン電池は車への搭載が世界的な流れになってきています。搭載の仕方で以下のように分かれます。

①HEV(hybrid electric vehicle)エンジン主体で電池とモーターで発進時のアシストとブレーキング時のエネルギー回生を行うことにより燃費改善を実現しました。

②PHEV(plug-in hybrid erectric vehicle)市街地はEV走行できるハイブリッド車。商用電力から充電できる。③BEV(battery erectric vehicle)エンジンは搭載せず100%電池とモーターで走行する電気自動車。

<リチウム電池の課題

イオン電池の発火事故も起こっており、安全性が問題です。リチウムイオン電池は何らかの理由で220~230°C以上になると熱暴走を起こし一気に500°以上の激しい発煙を伴う暴走反応を起こします。この熱暴走の制御が今後の課題です。