地球の自転のため、北半球の人には常に北へ押し倒す力がかかっています。そのため北へ向いて前屈すると、前屈し易いということになります。これはプレセッションで説明できます。

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今月の話題はプレセッション(歳差)です。

プレセッションは自転している物体の回転軸が円を描くように振れることを言います。安定して回転しているコマの回転軸に、倒すような力をかけるとコマは首を振りながら円運動を始めます。
これはコマの回転する角運動量が、大きさは変わらずにその向きだけを変えて回転することによります。(ジャイロ効果)コマの回転する自転の角運動量に対して重力が継続的にコマの回転軸を倒すように加わり続けるためです。

地球の自転軸もコマと同じようにすりこぎ運動をしています。地球の場合は約25800年かけて自転軸が回転しています。
地球の場合は赤道付近がわずかに膨らんだ回転楕円体なので、太陽や月の重力による潮汐力により、黄道面と一致させようとする力が原因です。結果、長い年月の後には見える星座が変わります。

西暦13000年ころには天の北極はこと座のベガになるといわれています。(今はこぐま座のポラリスが北極星です)プレセッションを応用したものにジャイロコンパスがあります。
地球ゴマのような3軸が自由なコマを、軸を地球の自転方向に合わせて高速回転させると軸は常に北を指し続けます。
航空機、船舶に広く応用されています。自輪車で前進回転する前輪を右へ(左へ)倒すと、自転車は右へ(左へ)方向を変えます。
打ち出された砲弾もプレセッションの影響を受けます。打ち出された砲弾は発射時の姿勢を保とうとしますが、次第に弾軸が弾道に対して上向きにずれてきます。
空気抵抗により、上向きの力がかかり、また砲弾は回転しているため、プレセッション効果により、右に回転している(左に回転している)砲弾は右へ(左へ)それていきます。上向きになった砲弾の前後の空気抵抗も変わり、また回転する砲弾の周囲の空気の密度の違いもプレセッション効果を起こし、弾道は当初の方向からそれていきます。

ゴルフボールも同じです。野球の変化球も同じです。すべてを計算予測することは困難で、経験則で調整します。
ヒトの体もプレセッションの影響を受けています。
地上にいる人は①地軸を回転軸に地球の自転と共に西から東へ1昼夜に1回の回転をしています。
②鉛直線を軸に上空から見て北半球では(南半球では)左回りに(右回りに)回転しています。
③鉛直線に直行して南北方向に接した線を軸として東に回転します。

①の力は遠心力として人に働きます。②と③の力は合力としてプレセッション効果を起こします。
自転車の例のように北半球の人には常に北へ人を押し倒す力がかかっています。北へ向いて前屈すると、し易いということになります。