マインドフルネスは海馬を増大させ、扁桃体を縮小します。集中力が高まり、ストレスが軽減します。
今月の話題はマインドフルネスです。
マインドフルネスとは、瞑想の手法から宗教性を排除したものです。
今、現代を代表する企業(ヤフー,グーグル,インテル,フォード等)の多くがマインドフルネスを取り入れています。
仕事前に10分間程度行うことで、集中力をアップ、仕事の効率を上げることができます。
脳の機能や形が変わることが立証されています。ストレスを減らす効果もあり、医療などさまざまな場面で活用されています。
マインドフルネスを検証するために35人を二つに分け、一つのグループは5分間のマインドフルネスを行い、ゆっくり動く体操や散歩などを、意識して3日間行いました。もう一つのグループは、普通に公園を散歩したり、普通に体操をしてリラックスした3日間を過ごしました。
3日間の合宿の2週間後、前頭葉の一部dlPFC(思考や認知など知的活動のまとめ役を行っている部分。大脳全体の司令塔。背外側前頭前野)を検査したところ、ただのリラックスをしたグループではdlPFCの活動が落ちていたのに対して、マインドフルネスをしたグループではその活動が大きく上がっていました。リラックスグループでは脳の一部が同期して活発に活動していました。この活動は脳が何も活動していない時に現れ、車でいうとアイドリング状態にある活動です。(デフォルトモードネットワーク)この時は頭の中が、雑念に飲み込まれています。考え続けるとストレスが溜まっていき、自分でストレスを作り出し、さらにストレスを増大させてしまいます。マインドフルネスのグループではデフォルトモードネットワークと一緒にdlPFCが活動し、デフォルトモードネットワークがうまく制御されていました。ストレスを感じにくい脳の状態です。
マインドフルネスは雑念に飲み込まれている状態から外に出やすくする練習です。考え込んでしまっていることに気づき、雑念から意識を引き戻します。
マインドフルネスの方法は以下です。
①呼吸に注意を向け、息が入ってくる体の感覚を感じる。おなかや胸が膨らんでくるのを、膨らみ膨らみと心の中でとなえる。出ていくときはちぢみちぢみと心の中で唱える。体に任せて呼吸を追いかけていきます。
②雑念が浮かんできたら、雑念に気づき、呼吸に注意を戻します。雑念雑念と声をかけます。戻りますと声をかけます。呼吸を感じ、身体感覚に戻します。後半は注意のフォーカスを広げていきます。パノラマ的に体全体の感覚を感じ取るようにします。(床についた足の平の感覚、体がすっと伸びている感じなど)
③いろいろなものを同時に感じとります。周りの空気の動き、周りの音などを感じ取ります。雑念が出てきてもそのあたりに漂わせておきます。最後は瞼の裏に注意を向けてゆっくり目を開けます。1日45分のマインドフルネスを8週間行って、海馬の灰白質の大きさが5%増大したことが観察されています。海馬は記憶や感情のコントロールにかかわる部位です。ストレスを受けると損傷し、うつ病に繋がる可能性が指摘されています。不安や恐怖に反応する偏桃体は5%縮少していました。ストレスに対する過剰な反応が抑えられます。