身長を伸ばすのに必要なカルシウムは牛乳からはとれません

今月の話題は身長の伸びです。小学校低学年では身長は毎月4~5mm伸びるのが普通です。
少ない場合は小食であるか、タンパク質合成能力が弱いかです。
背を伸ばすためには、材料のタンパク質(アミノ酸)をいかに多く、体に取り込むかがポイントです。
思春期が遅れれば遅れるほど身長は伸びます。思春期が始まるまでにできるだけ伸ばしておくことが大事です。
思春期がはじまると5年後には身長の伸びは非常に小さくなります。
思春期が始まると約2年間、背の伸びの高い状態が続きます。
1か月で7~10mmの伸びがみられます。1か月に6mm以下のときはその原因を探る必要があります。
男子は、声変わりが始まると、もうすぐ止まりゆく3年です。
女子の場合は生理が始まった時はすでに止まりゆく3年のうちの前半6か月を過ぎています。
止まりゆく3年の背の伸びは、最初の1年が4~5cm、次の1年が2~3cm、最後の1年が1cmです。
この時期は自己成長ホルモン分泌能力が急低下する時期です。
背を伸ばすには、
① 運動をした後、あまりに疲れ果てると食欲がなくなり、食べないで寝てしまうことがあります。しかしこれはだめです。運動量を上回るだけしっかり食べる必要があります。陥りやすいのは水泳とクラシックバレエ、剣道などです。
② 朝食を抜くと体は体内の蓄積脂肪や肝臓内のグリコーゲン分解でエネルギーを得ようとします。朝食を抜くのもだめです。
③ 多少太っているからといってダイエットしてはいけません。炭水化物、脂肪を少なくしてタンパク質をしっかり取るようにしましょう。
④ 夜更かしをしない。成長ホルモンの分泌を高めましょう。骨端線部の軟骨レベルの増力が高まります。11~12歳の中学受験の夜更かしはしっかり食べていれば大丈夫です。
⑤ 止まりゆく時期での激しい運動は背の伸びを止めてしまうことがあります。いじめにあっていても身長の伸びは止まります。思春期が始まってしまうとそこからは、決まった量の伸びで身長は止まります。両親の一方が思春期早発で背が低い場合は、子供も思春期早発を起こしやすいと言われています。
⑥ 大豆のイソフラボンは女性ホルモン様作用をします。背の伸びが止まりかけている時期に納豆、味噌汁、豆腐、枝豆などの大豆食品を常食すると伸び率が低下します。男子は声変わり後、女子は生理が始まりそうになったら、大豆食品の摂取は控えた方がよいでしょう。醤油などの、調味料は少量なので構いません。止まりゆく時期以外の大豆摂取は問題ありません。
背が止まりゆく時期は、骨端線部位の軟骨細胞を十分に肥大化させてから骨化させるのが正しい背の伸ばし方です。カルシウムを過剰に摂取すると十分に肥大化する前に骨化する可能性があります。
カルシウムをサプリメントなどで過剰に摂取することは望ましくありません。伸び盛りの時や、園児、学童期はかまいません。カルシウム摂取には、牛乳は良くありません。
従来牛乳摂取量の多い地域に骨粗鬆症の発症が多く、疑問に思われてきました。牛乳や肉類などの動物性食品は血液を酸性に変え、それを中和するために骨からカルシウムが溶出し、尿のカルシウム排出が増えることが発見されました。牛乳ではカルシウムはとれません。