足裏の重心位置・外反母趾・へん平足について
今月の話題は足裏の重心位置です。足裏の重心位置は体重を支えている脛骨(ひざ下には2本の骨があり、脛骨は内側の太い骨のほうです)の直下にあるのが正解です。
土踏まずの後方、やや内側、前後的には内くるぶしの下あたりです。拇指球ではありません。
脛骨は距骨という足首の大きな骨にまたがった形に乗っています。
腓骨(外側の細い方の骨)の下や、小指の付け根の方に重心があると腓骨は弱いため、体重を支えられず変位し、膝の変形や痛みの原因、O脚やがに股の原因になります。拇指球に重心があると、大腿四頭筋の一番外側の外側広筋に力が入り、大腿は肥大します。
大腿四頭筋の裏側を通るラインが本来の重心のラインです。拇指球に重心がある人は、重心が前方にあるために大腿四頭筋で常にブレーキをかけており、筋肉の無駄な動きとエネルギーのロスがあります。
スピードも遅く、余計な筋肉が付くため、そつのない体の動きができません。
スポーツの指導の際にしばしば拇指球で立つとか、足指で地面をつかめとか言いますが、誤解です。
拇趾球が重心に来るのは体全体の重心が前方へ移動してきたときに限られます。
拇趾球で地面を蹴るとスピード゙がつくと考えられがちですが、これも誤りです。
足裏を脛骨直下からつま先までの前方成分と脛骨直下からかかとまでの後方成分に分けて考えたときに、静止位置から前方へ動き出そうとすると、重心は拇指球より後方にあるのが普通ですので、止めていた力を抜き、さらに体重を一時前方へ動かさないと拇指球支点にはならず、動けません。
脛骨直下に重心があればそのまま前に踏み出すことは躊躇なく行え、無駄な動きと時間がありません。
踵に支点を移せば後方成分のモーメントが増えるためさらに素早く力強く動き出せます。無駄のない動きのときは、重心が前方へ移動し、股関節が前方へ移動し、大腿骨が引かれ、脛骨が引かれ、距骨が引き上げられ、踵が上がり、拇指球が地面に接し、最後に拇指球の蹴りあげが起こります。
上体がスピードをもって前方へ動いている時に拇指球のけりが入るため、さらなる加速が起こり、早い無駄のない動きが実現します。
ふくらはぎの筋肉はこの段階で使われるため、それほど強大に付いていなくてもよいことになります。
超一流のアスリートのふくらはぎがそれほど発達していないことがよくあるのはそのためです。
相撲ですり足が大切にされるのも同じ理由で、拇指球で押した場合より、踵を付けた圧力の方が力のモーメントが大きくなるため、はるかに大きな破壊力が生まれるからです。
外反母趾は、距骨や踵骨(かかとの骨)のような大きな骨に体重をかけるべきであるはずが、中足骨あるいは拇指球に体重をかけている時間が長すぎたため、放射状になっている中足骨を支えている筋の疲労が起こり、骨が横に広がることで発症します。
ヒールの高い靴で同じ現象が起こります。
後天的な扁平足も同じで、中足骨が前方へつぶれていくことで、発症します。重心は内くるぶし下にあるのが正しい位置です。