睡眠時無呼吸症候群

今月の話題は睡眠時無呼吸症候群です。睡眠時無呼吸症候群とは睡眠時、10秒以上の呼吸停止が1時間当たり5回以上、もしくは7時間以上の睡眠時中に30回以上起こることを言います。ヒトは深い睡眠がないと、免疫力が低下し、成長ホルモンの分泌が通常の30%にまで減少してしまいます。成長ホルモンは脂肪を分解し、筋肉を増強する作用をします。子供の場合は不足すると成長障害になります。寝言が多くなり、徘徊、夜尿も多くなります。昼間も、活動性が低く、集中力が散漫、やる気が起こりません。学業成績の低下、体がだるい、夜驚症や自律神経失調症で精神安定剤を処方されていたケースもあります。無呼吸のとき、体は酸欠状態になり、なんとか酸素を送ろうとするため、心拍数は増え、スポーツ中のように激しく変動します。高血圧、狭心症、心不全、不整脈の原因である心房細動が起こることもあります。血栓ができやすくなり、心筋梗塞、脳梗塞の原因となります。スリーマイル島原発事故、スペースシャトルチャレンジャーの爆発事故、チェルノブイリ原発事故、などは睡眠不足による人為事故であることが明らかにされています。

睡眠時無呼吸症候群は、あごの小さい人や、肥満で舌が肥大しているなど、舌が口の中に入りきらず、のどの後方へ落ち込み、気道を圧迫することが原因です。現在、子供たちに睡眠時無呼吸症候群が増えているのは、小さなアゴ、未発育なアゴの子供が増えているからです。不登校、ひきこもり、小児肥満、情緒不安定、注意欠陥多動性障害(ADHD)などの子供は無呼吸症を疑ってみるべきといわれています。いびきをかく子はADHDになる確率が通常より4倍高くなります。山下矯正歯科での基本治療である、あごの幅を広げること、あごの奥行きを作ることは、舌の居場所を作ることになり、睡眠時無呼吸症候群の予防となります。アメリカでは矯正治療を子供のころにしたかどうかが発症のリスクを左右すると考えられています。舌の入る空間を増やし、舌の位置を後方から前方へ変えることが、睡眠時無呼吸症候群を予防します。