出っ歯・上顎前突とは?
上顎前突は一般的には上顎の前歯が突出した歯並びのことをいいます。
上顎の過成長が原因のように思われがちですが、80%は逆に上顎の劣成長を原因とすることがわかっています。上顎の歯列の幅が十分発達しないでいると、下顎の歯列のほうが幅広くなります。
これは上顎の骨の性質が柔らかい骨であることに対して下顎の骨は腕の骨のような硬い骨でできているからです。下顎の骨は遺伝的な要素を色濃く持ち、環境による影響をあまり受けません。上顎は後天的な影響を受けやすく、特に幅は現代人の場合狭くなりがちです。
このことにより、食生活の影響で、未発育になりがちな上顎より、下顎の幅が大きくなり、アンバランスを生じます。噛み合わせにおいては幅が合わないためそのままでは噛めません。一般に歯列は前方より後方のほうが幅広いため、幅のある下顎を引き込んで噛むと上顎の幅の比較的あるところに当てられるので奥歯の幅が合い、噛めます。
次第にあごを引いて噛むことが定着してしまいます。よく引き合いに出されるのが小さいスリッパをはくと、つま先はスリッパの先まで届かず、かかとがスリッパからはみ出してしまうことです。つま先を下顎の前歯と考え、スリッパの先を上顎の前歯と考えるとそれぞれの幅の違いによる噛み合わせへの影響が理解できます。
前歯同士は当たらずに空間の空いた状況になり、噛み合わせがずれて下顎が引けた位置に定着し、その結果上顎前突になります。当然奥歯は、横幅は合っていても前後的にはずれているため、互い違いの噛み合わせにはなっておらず、噛んでも点と点が当たるのみで、すりつぶすことができません。