鼻呼吸は口呼吸に比べて回数や換気量が多くなります。鼻腔の粘膜からは多量の一酸化窒素が産生され、体への酸素の取り込みが促進されます。

  • 鼻呼吸は口呼吸に比べて回数や換気量が多くなります。鼻腔の粘膜からは多量の一酸化窒素が産生され、体への酸素の取り込みが促進されます。

今月の話題は鼻呼吸と口呼吸の違いです。

吸息では体に酸素を取り入れ、呼息では作られた二酸化炭素を体の外に出します。取り込まれた酸素は、生物が生きていくための、エネルギーを取りだすために使われます。食物として取り込まれた糖や脂肪を酸素と反応させて燃焼させ(酸化)、出てきたエネルギーを生命活動に用います。燃焼反応により生成された二酸化炭素と水は、息を吐くことにより体の外へ排出します。

鼻呼吸には4つの機能があります。①濾過機能 ②加温加湿機能と脳冷却機能 ③抵抗器機能 ④肺の血流量を増やす機能です。

①濾過機能は、ヒトは1日に1~2万リットルの空気を吸うといわれていますが、鼻腔の粘膜層と粘膜層の繊毛は吸気中のごみやほこり、細菌、ウィルス、花粉等を濾過し、肺にきれいな空気を供給します。直径3~5ミクロンであれば80%、直径2ミクロンであればその60%を取り除きます。花粉は20~40ミクロンです。繊毛は6㎜/分の速さで喉の奥に異物を送り込み、胃酸で異物や花粉を消化します。鼻腔、副鼻腔の全領域を10分くらいできれいにします。口呼吸では花粉などの異物はそのまま喉や肺に入ってしまうためアレルギー発症の原因となります。

②鼻腔の粘膜は甲介という襞により、その表面積を4倍に広くしています。表面積を増やすことにより肺に送り込まれる空気の湿度と温度を調整しやすくし、ガス交換の効率を上げています。温度37度、湿度100%に瞬間的に変えます。また、鼻腔粘膜は毛細血管に富んでおり、海綿静脈洞構造をもち、腫脹、収縮して粘膜の厚みをコントロールし、空気の流量を制御します。鼻腔、副鼻腔の血液の温度が下がることでヒートした脳内の温度も下げることができます。

③日中の気道の抵抗値は鼻呼吸も口呼吸も同じですが、睡眠中は鼻呼吸の方が気道抵抗値は低く、呼吸が楽です。複雑な甲介による鼻腔抵抗により、時間をかけた吸い込みができ、胸郭を広げる筋肉が活性化し吸い込む力が増します。胸郭内の圧力は低下し、肺胞の血流量は増加します。息を吐き出す時には鼻腔抵抗があるため空気が肺胞内に長くとどまり、ガス交換の時間が延長されます。鼻からの呼吸は口からの呼吸に比べて回数や換気量も多くなります。喉を広げる機構も働きます。鼻の局所性反射といわれています。

④鼻腔、副鼻腔の粘膜からは多量の一酸化窒素が産生されます。一酸化窒素は肺の血管を拡張するので、酸素の取り込みが促進されます。口呼吸ではこの作用はなく、口呼吸は鼻呼吸より酸素の取り込み率が低くなると考えられています。

鼻呼吸は口呼吸より、呼吸機能についても様々な点で優れていることがわかっています。