次亜塩素酸水

今月の話題はもう一度次亜塩素酸水です。前回ご紹介しましたように次亜塩素酸水はほとんどの細菌、ウィルスを瞬時に溶菌することが出来、さらに人体にとても安全な水です。歯科では歯周病の治療に応用されています。去年、テレビ「夢の扉」で紹介されたパーフェクトペリオ水はその仲間です。山下矯正歯科は、この高濃度次亜塩素酸水を使った口腔内の機械的洗浄を、虫歯予防、歯周病予防として採用しました。

超酸性水では殺菌はできても、内毒素の分解までは出来ません。菌は死滅していても、内毒素がある限り歯肉炎、歯周病は止まることなく進行し続けます。その理由は、虫歯菌や歯周病菌を分解するマクロファージ、骨を壊す破骨細胞はすべてTLR4というレセプターを持ち、菌の内毒素に反応するからです。菌の生き死に反応するものではありません。殺菌しても、歯根表面、歯肉内縁上皮には内毒素が残存していてTLR4のレセプターが感知すると、敵がまだ残っていると思ってマクロファージは炎症性サイトカインを多量に放出し続けます。破骨細胞は歯槽骨を破壊し続け、マクロファージの放出するインターロイキン1がさらに破骨細胞の活動を促進します。内毒素の感染によりリンパ球の増殖が起こり、Ⅲ型アレルギーによる組織障害も誘発されます。次亜塩素酸水は耐性菌を作ることなく内毒素も含めて溶菌するため、虫歯、歯周病の根治治療に絶大な効果があります。抗生剤のような環境汚染もしません。抗生剤の環境汚染は現在大問題です。

次亜塩素酸水は冷蔵庫で7ヶ月持ちます。ご家庭での使い方は、通常のブラッシングでよく歯や歯肉の汚れを落としてから、洗口します。矯正治療中のように汚れが多く、つきやすい場合は80ppmから150ppmくらいに薄め、30秒ほどゆすぐのが良いでしょう。10℃温度が上がると除菌力は2.5倍になりますので、お湯で希釈し、40℃程で使用すると効果的です。歯科医院の治療台で行う高濃度次亜塩素酸水による口の中の機械的洗浄は歯周病、歯肉炎、う蝕の予防に最も効果的です。